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戸塚式訓練法にはだまされるな

(1)力支配的な集団訓練に効果があるのか

不登校が登校拒否といわれていたころから、今日にいたるまで、この問題を力支配的なやり方で解決しようとする試みが繰り返されてきました。 集団生活をさせ、施設側の命令に服従させ、施設側がいわゆる規則正しい生活を押しつけた場合、それをつづけているうちに、ちゃん回復するようになるというのは本当のことでしょうか。 不登校や、不登校を含む閉じこもりの発生の原因が解明され、その解決の対策がとられているかというと、いまだに「よう分からん」というのが社会や行政の現状でしょう。

たとえば、戸塚式訓練法について、私は有害無益と見ていますが、本当に効果があったのかどうかについては、厚生労働省と文部科学省が協力して、労力がかかるとしても、その訓練を受けた人、全員の20数年にわたる追跡調査をすれば、その裏付けがとれるでしょう。

(2)戸塚氏の出所

06年4月29日、傷害致死罪や監禁致死罪などで懲役6年の実刑判決を受けた、戸塚ヨットスクール校長の戸塚宏氏が刑期を終え、出所しました。 そのときの記者会見で[「体罰は教育。正しい教育論がないから教育荒廃が起こる」と持論を展開。]
さらに別の会見で、[「二審判決では、何年もかけて死者まで出しながら作り上げてきた教育論を簡単に否定された。判決には納得できない」と述べ]ました。

[遺族への気持ちを問われると、・・・・「4人を悼む気持ちは裁判でも何回も言ってきた。・・・・もういい加減にしてほしい」と語気を強めた。]
[「・・・・子供の本能を鍛えるためには、『死にかける体験』が必要なんです。今の子どもは甘やかされ過ぎて、生きようという意志がなさすぎる」] [「体罰は『進歩、進歩』と子どもの進歩を思いながらやる。単なる暴力とは違います。強さも相手の能力に応じて変える。そこは、やる人間のテクニックですよ」]。そう言いながら、事件の責任については[「あれは事故で、責任を問われるなら、業務上過失致死。ムチャクチャにしごいたように言われているが、そんなようなことはない。ただ、(亡くなった少年たちが)あれほど弱いとは、我々も思わんかった。・・・・」]と述べています(「朝日新聞」06年4月30日、「週間朝日」5月19日号)。

この人の言うことはいつも自己正当化、自己弁護ばかりで、「被害者や被害者の家族に、ほんとうに申しわけないことをした」という誠意の片りんも感じられないのです。1人の死者を出しても大変なことであり、そんな訓練は中止すべきなのに、第1号の犠牲者になった、私の妻のおいを含めて、5人も死者を出しているのに、まだしゃあしゃあと「体罰は教育」と言っているのです。それはただの体罰ではなく、しごきであり、リンチであり、犯罪行為を繰り返してきたということです。
スクールは規模を縮小し、それでも、現在の生徒は7人いるということです。戸塚氏の復帰で生徒数はもっとふえると見られます。なぜなら、閉じこもりなどの、問題をかかえた本人をどう扱ってよいか、分からない親のなかで、しごき訓練が効果があるように思っている人がかなりいるからです。

現に「戸塚ヨットスクールを支援する会」の会長は石原慎太郎東京都知事です。ヨット仲間ということもありますが、タカ派で右よりで、権力による恐怖支配大好きということで共通しています。
社会は力中心で動いており、力による恐怖支配を極端化したのが戸塚式訓練なのです。ですから、「死なせてはいかんが、そのくらいきびしくしないと、そんな連中はよくならない」と共感する意見がこの社会ではけっこう根強いのです。
20数年前の事件当時、精神科医、カウンセラー、教育者などの専門家で、戸塚式訓練をまともに批判した人はいなかったのです。
私は以前の会報に数回にわたって戸塚式訓練法批判を掲載しました。事件から20数年たった今でも、戸塚式訓練法の亜流と見られる訓練所はなくならないのです。最近(06年5月)も、ひきこもりの支援組織と自称するNPO法人で、鎖で監禁中に男性を死亡させる事件が起こりました。改めて、戸塚式訓練法とその亜流について検討します。

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